杉山芙紗子さんインタビュー

スポーツは、「身体能力」はもちろん「忍耐力」「挑戦力」「思考力」「判断力」といった子どもにとって必要なことを学べるもの。そこで、スポーツアスリートをそばで見て育ててきた、杉山愛さんの母親の杉山芙沙子さんに、子どもの能力をのばす極意を教えてもらいました!

※この記事はソトイコ!秋4号(2016年9月23日配布)の内容と同一です。

1. 子育てにかんして、家族の哲学をもちましょう

img_138 家族で共通理念をもつことをおすすめします。私たちは、娘を「プロにしよう」と思ったのではなく、「家族でテニスを楽しみたい」という考えのもと始めました。これは私も娘も同じ気持ち。大きくなるにつれ試合結果に一喜一憂したり挫折することも出てきますが、「家族で楽しく」というベースがあると、悩みはすごくシンプルになるのです。

 ちなみにその目標は、「世界一強くなる」でもかまいません。自分たちに合ったものを家族で一緒に考えることが大事なのだと思います。そして考えを共有すると、「親」と「本人」がそれぞれ自分のやるべきことが見えてきます。

2. いろいろな経験をさせてあげましょう

 経験が少ない子どもたちにとって「好きなこと」にすぐには気づかないかもしれません。そのためにもいろんなことを体験させてあげて可能性を広げてあげてください。そうするといつの間にか自然と「本当にやりたいこと」「好きなこと」が見つかるはずです。いろんなことを経験して「本当にやりたいこと」を見つけた子どもたちほど、強いものはないと思っています。

 ちなみにおけいこを始めたら、「やり続ける」かどうかの選択を、子どもとよく話し合って決めさせてあげてください。「楽しいからやる」のと「お母さんに言われたからやる」のだとまったく違うものになってしまいますから。あくまでも選択権は子どもにあって、場を提供するのが親だということを忘れずに。

3. 自分自身も成長しましょう

img_145 子どもが成長するにつれて、話し合いができなくなる、というお話を聞くことがありますが、年齢に関係なくつねに親子で「寄り添うこと」が大事なのだと思います。そうすれば、子どもが悩んでいるときのサポートもすぐできるし、喜びも一緒に分かち合うことができます。子どもをサポートしつつも、今、自分は子どものために何ができるかを考えることで、目標に向かって前に進むことができるのです。「モンスター」ではなく「エンジェルペアレンツ」を目指していきましょう。

 ちなみに必要となってくるのは、「会話のキャッチボール」です。何を必要としていて、自分はどう考えているということをお互いに知ることで、一緒に成長することができるのです。

4. プラス思考で、目標を見つけるのが上手な子になるようにしましょう

 「25m泳げるようになる」などの大きな目標をかかげることは簡単なのですが、そこにたどり着くまでに気持ちがなえてしまうことも多いです。そんなときは、「水に顔をつけられるようにする」といった、「大きな目標」にたどりつくまでの「小さな目標」をつくりましょう。そしてその目標が達成できたときに、「続けたいか」と毎回、子どもの意志を確認することをルールづけすると、のびていきます。

 目標が達成できたときの「うれしさ」から「好き」になり、もっと「やりたくなって」いくもの。この作業を繰り返していくと、子どもは楽しくなって、「もうちょっとやりたい」と思っていくのです。ちなみに、一つひとつクリアしていくことで自信もついていきます。

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● 杉山愛さん:日本人初のダブルスで世界ランキング1位を獲得し、シングルスでも四大大会でベスト8に2度も進出し、世界ランキング8位を獲得した日本を代表するテニス プレーヤー。4才のときに「家族で楽しむ」ために通い始めたテニスが大好きになり、日々練習をするように。プロになってからは、2009年の引退まで常に 上を目指し世界の強豪と戦った。引退後はテレビなどでテニスの魅力を多くの人に伝えている。神奈川県出身、41才。

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● 杉山芙沙子さん:元プロテニスプレーヤー杉山愛の母親。愛さんの要望により、2000~2009年の間、コーチとして世界ツアーをともに転戦したことも。自身が校長を務め るパーム・インターナショナル・スポーツ・クラブでは、テニスをはじめとした多くのジュニア選手を育成。スポーツをとおして、「感謝」や「思いやり」「自 分を表現できる」など「生きる力」をもった人材を育てている。「一流選手の親はどこが違うのか」などの本も出版。