YAMAP×Mt.石井スポーツ×学研 コラボ企画「親子でハイク!!&防災力が身につくデイキャンプ」レポート

山梨県甲州市にある「甲斐の国大和自然学校」とその周辺施設で、2日間に渡り開催したこのイベントの様子をレポートします。約30名の子どもたちがさまざまな自然体験にチャレンジ。家族や友だちと楽しく遊びながら、暮らしの知恵や生きる力を身につけました。

1日目(デイキャンプ)

9時30分 オリエンテーション

イベントはオリエンテーションからスタート。一緒に過ごすみんなに自己紹介したり、これからの予定を確認します。子どもたちは3つの班に分かれ、各班のリーダーも決めました。

10時 魚のつかみ取り

オリエン後は近隣の「日川渓谷レジャーセンター」へ。ここでは、昼食のおかずとなる魚のつかみどりに挑戦しました。「とれないと、おかずなしだぞー!」そんな言葉に触発された子どもたちは、みんな必死! 魚を岩陰に追い込んだり、背後からそっと手を伸ばしてみたり。試行錯誤しながら魚と格闘。みんなで協力もし合い、無事食材を確保することができました! 「生きた魚を触ることも珍しいですが、自分でとって食べる経験は貴重です」と、お母さん。

11時30分 野外炊飯

つかまえた魚は、自分たちで調理。スタッフのレクチャーのもと一人ひとりがギア・ナイフを使い、自分で食べる魚を自分でさばきます。怖がらずに魚をさばく様子を見た親御さんからは、「日常ではわからなかった、たくましい一面が見られました」という声も。

箸づくり

ごはんを食べる箸も手づくり。小刀で竹の角削り、食べやすいように整えていきます。削るときのコツはナイフではなく竹を動かすこと。 「『自分でやる!』『できる!』という気持ちが伝わってきてきました」と、真剣に竹を削る我が子の様子に感心。

13時 昼食

ごはんは竹筒とたき火で、炊飯。炊飯器がなくても自然の中にある道具を使いごはんが炊けることに子どもたちは、興味津々。 「(蓋となる部分に触れながら)なんで切ってあるんだろう」「(筒の中に手を入れ)穴が開いている!」と、子ども同士で「なぜ?」を共有し合い、考え合う様子も見られました。竹の香りが移ったごはん、そして自分たちでとってさばいた魚は最高のごちそうです。

14時30分 川あそび

昼食後は近くの川へ。浅瀬で水をかけ合ったり、水中にもぐったりと終始大はしゃぎ! 小さい魚や昆虫、大きなカエルなど水辺の生き物を見つけ興奮する子たちも。また、川で楽しく安全に遊ぶためにはルールもしっかり、教えてもらいました。大人からは、「大人が気づかないところで、子どもたちは生き物を見つけてきます。子どもの視点のおもしろさにあらためて気づいた」という感想も。

16時 振り返り

たっぷり遊んだあとは、自然学校に戻り班ごとに今日の出来事を振り返りました。班のリーダーが中心となり、楽しかったこと、驚いたことなどをグループ内で伝え合います。その後リーダーは班を代表して、みんなの前で発表も。

17時 テント張り

自然学校ではテントを貸し出してくれるので、希望する家族は屋外でテント宿泊。どんどん、おうちができあがっていく様子に、子どもたちはワクワク! どの子も積極的にテント張りを手伝っていました。初めてキャンプする親子も多く、「テントの張り方、勉強になりました」「キャンプに興味がわきました」と、大人にとっても気づきが多かったようです。

2日目(親子ハイク)

10時 ハイキングへ出発

2日目のメイン行事は、ハイキング。石井スポーツ登山学校校長である天野和明さんと一緒に、山梨県大月市と甲州市の境にある山、大蔵高丸の山頂を目指します。天野さんは登山界のアカデミー賞とも呼ばれるフランスの山岳賞・ピオレドール賞を日本人として初受賞した世界的登山家のひとり。山登りのコツ、楽しみ方なども教えてくれました。

ハイキング中に気になった場所、子どもたちの興味をひいたものは写真で撮っておくと、下山後に振り返りをするときや自由研究にも役立ちます。 山中には昔「炭焼き」をしていた跡地も。「火を使うと暑くなるから、きっと川に入ったんじゃないかな?」など、想像をふくらませた子どもたちの間では、そんな会話も。

「みてみてー!」と自分で探した生き物や植物を、大人にもうれしそうに見せてくれました。

山は急に道幅が狭くなったり、でこぼこした道になったり。ときには、こんな沢もありましたが、大人たちの手も借りて、みんなじょうずに渡りました。「みんなと一緒だからなのか、怖がったり、弱音を吐かない我が子にびっくりしました」と、驚くお父さんやお母さんも。

12時 昼食

1時間半ほど登り、たどり着いた湯ノ沢峠で昼食タイム。登山用の小バーナーでお湯を沸かし、フリーズドライのスープとごはんをいただきました。初めてバーナーを使った大人も多く。「温かいごはんが食べられるなんて!」という驚きや、「災害時にも役立ちそう」という意見も。

14時 山頂に到着

湯ノ沢峠から1時間程度歩くと山頂に到着。途中、「疲れた~」「まだかな~」と口にしはじめた子どもたちも頂上に着くと、元気が復活! 家族やすっかり仲良くなった友だちと、記念撮影。

16時 振り返り

下山後は自然学校に戻り、振り返り。登山中に気になったことや、見つけた生き物、植物のことなどを家族と話し合ったり、ノートに書き込みました。振り返ることで、体験がより印象に残り、興味も深まります。

自由研究に、まとめられるよ!

自然体験を通して興味を持ったこと、知ったことをノートや模造紙にまとめると、自由研究にもなります。

■「野外炊飯」で気づいた、“火”の特徴をまとめてみよう!

1日目の昼食時にごはんを炊いたたき火は、子どもたちが協力しあって着火。「なかなか火がつかない」「すぐ消えてしまう」という体験を通して気づいた、火の特徴などをまとめることができます。

【学びのポイント】

・火をつけるためには、燃えるもの、燃やすもの、酸素が必要
薪に火をつけただけではすぐに消えてしまいます。薪を三角錐型に組んで、空気が適度に通る隙間を作ることも必要。途中で息を吹き込んだりすると炎が大きくなりますが、そういった一場面も、空気の役割の理解につながります。

・燃えやすい木と、燃えにくい木がある
薪は、乾燥したものを使うほうがよく燃えます。水分を含んでいる薪は燃えにくいばかりか、白い煙がもくもくと出てきてしまいます。今回、魚を焼くためには炭を使用しましたが、薪と炭の違いにも目を向けると、さらに学びの幅は広がりそう。

■ハイキングで見つけた、植物や生き物をまとめてみよう!

山には日常では目にできない植物や、生き物がいっぱい! 気になったものの形や色、感触、においなどの特徴をまとめてみましょう。図鑑などを使い、見つけた生き物や植物の特徴をさらに詳しく調べてみるのも◎!

【学びのポイント】

・どんなところにいたか、生えていたかを覚えておく
例えば、水辺と草地では生息する生き物は異なります。どこにどんな生き物がいたか、どんな場所にどんな植物が生えていたかなども、思い出しながらまとめてみましょう。植物や生き物の新たな特徴に気づくことも。

・水や石、天気、すべてのことが学びにつながる!
川の流れる沢沿いを歩くなら、その最初の一滴はどこだろう、と考えれば、「水の循環」について深く考えることができます。また、石や地層など、足元を気にするだけでも、いろいろな発見につながります。大切なのは「これはなんだろう?」と思いながら歩くことなのです。