小山恭輔さんインタビュー&2020東京パラリンピックを目指して【出前授業】

小山恭輔さんは、これまで2回のパラリンピック(※)で銀と銅のメダルを取った世界と戦う水泳選手。小山さんは今、2020年の東京パラリンピック出場を目指して練習にはげみながら、小学校での水泳指導を続けています。なぜ、世界と戦う小山さんが小学生に教えるのでしょうか。そこには、意外な理由がありました。
※体の不自由な人の国際スポーツ大会

●小山恭輔(おやま きょうすけ)さん
2020年東京パラリンピック水泳50mバタフライで好成績が期待されるスイマー。13才で脳の血管がつまる病気(脳こうそく)になり、体の右半分が思いどおりに動かせなくなった。その後、病気の前からやっていた水泳を再開し、北京パラリンピックで銀メダル、ロンドンパラリンピックで銅メダルを取った。1987年、東京都生まれ。日鉄住金パイプライン&エンジニアリング所属。

「金メダルを取ってね」という一言がぼくのパワーになる
好きな選手をつくってパラリンピックを応えんしてください

─ 世界と戦う小山さんがなぜ、小学校での水泳指導をしているのですか。

 ぼくは子どもたちに水泳を教えながら、実は子どもたちからエネルギーをもらってるんです。どういうことかというと、ですね。
 ぼくは国内にライバルが少ないので、実は「自分の練習はこれでいいのか」といつも迷っています。でも、世界には強い選手がたくさんいます。そんなライバルを想像すると「おれ、勝てないんじゃないか」と弱気になるんですね。そんなときに、水泳指導で訪れた小学校の子どもたちから「金メダルを取ってね!」と言われるととてもうれしくて。その一言が、練習を続けるパワーになるんです。大人は思っていても、そんなことを直接言いませんからね。(小山さん)

─ パラリンピックって、よくわかりません。どのように見ればよいのでしょうか。

 障がい者も健常者も、パラリンピックもオリンピックも、同じですよ。まず、選手や競技を身近に感じてほしいですね。どんな競技でもよいので、好きな選手を作ってください。「かっこいいから」「同じ都道府県出身だから」と理由は何でもいいんですよ。そして、その選手を応えんして、その競技に注目してください。ぼくは、みんなから「この人の応えんに行きたいな」と思ってもらえるアスリートになりたいとがんばっています。(小山さん)

─ 脳こうそくでたおれた後、体にはどのような不自由が生まれたのですか。

 体の右半分の機能がまひしました。自分の思ったように動かせないんです。たとえばそれまで利き手は右でしたが、たおれた後はなんでも左でやるように変えました。えんぴつもはしも左手で持ち、服をぬいだり着たりする動作も、左手一本です。まひした右手が上げられるのは胸の高さまで。右足もうまく動かせません。
 でも、「この障がいだったら(たおれる前から好きだった)水泳ができる」と考え、水泳を続けたんです。(小山さん)

本格的な練習を開始して1年後の北京で銀メダル!
2020年は、50mで29秒台の世界新記録を目指す!

─ パラリンピックを目指そうと思ったきっかけはなんだったのですか。

2004年のアテネパラリンピックで、自分と同じような障がいの日本人選手の戦いをテレビで見ました。そのときに「もしかしたら、自分にもチャンスが!?」とばくぜんと考えました。やがて2007年の国内大会で、当時の世界ランキング6位と同じくらいのタイムを自分が出して。「これならパラリンピックを目指せるかも」と、パラリンピックの1年前からコーチと本格的な練習を始め、北京で銀メダルを取ったんです。(小山さん)

─ ズバリ、2020東京パラリンピックの目標を教えてください!

 今は2020年に向けて週5日、1日3000~4000mほど泳いでいます。1日1万m泳ぐ選手もいるので、決して多くはありません。実際に泳ぐ時間は1時間ちょっと。あとはコーチの指導を受けて、毎回2時間ほど練習しています。日本身体障がい者水泳連盟と共同で、パラリンピック用に改修した立教大学の50mプールで練習しています。
 パラリンピックは大会のたびに競技レベルが高くなっています。ぼくの出る種目なら、中国とコロンビアに強い選手がいます。2020年は、かれらに負けないように「50mバタフライで世界新」を目標に戦います。29秒台なら世界新記録になるかもしれません。記録との戦いです。みなさんも、応えんしてくださいね。(小山さん)

先生方へ

小山さんを呼んで
教えてもらいませんか?

東京パラリンピックを目指す小山選手に、目標に向かってがんばることの大切さなど、トップアスリートならではの話を聞きたい、そして友だちになりたい、応えんしたい、そんな思いを実現しませんか? 大きな学びがきっとあるはずです。

●お問い合わせ先

(株)学研イノベーション ソトイコ!編集部

> お問い合わせはこちらから